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神奈川県横浜市南区真金町1-7
サンハイツ村山1階

横浜市南区の内科 村山クリニック 下肢静脈瘤・内視鏡・巻爪・痔などの診療をしています。

下肢静脈瘤

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はじめに

およそ10年前、秦野市の友人の病院から私が実家であるこのクリニックに帰ってきたとき、一般的に下肢静脈瘤は一週間入院のうえ全身もしくは下半身麻酔にて行われていました。東京都内の先端医療クリニックで自費のレーザー手術が行われていた頃です。

横浜市には、私たちの関内医院と長津田のクリニックしか下肢静脈瘤日帰り手術を行う施設はなかったのを覚えています。

この10年間、TLA麻酔による日帰り手術の標準化、また術式はストリッピング手術から自費レーザー手術、保険レーザー手術、Radialレーザーファイバーの導入そして高周波治療の保険導入と、下肢静脈瘤の治療は進化し激変してきました。その全てに私たちはこの医院で携わり、それぞれの功罪を体験してきました。私たちは、その時々での最新最善の治療を心がけ日々手術に明け暮れ、気づけば、この場所での治療経験は手術、硬化療法で約5000肢となっておりました。また、当医院で診療に携わる外科医も増え、現在は様々なバックグラウンドからの約10名の血管外科医の先生方が助けてくれて、いつも様々な視点からいろいろなアドバイスや新しい情報を頂いております。

この現状を、10年前私たちは想像すらできませんでした。基本を大事にしながら治療進化のスピードにも適応し、より良い診療を提供していけるよう努力して参ります。また、より良い医療とは何なのかこれからも手探りで考え続けていきたいと思っています。
 

村山 剛也

下肢静脈瘤とは?

足の血管がこぶのように膨らんだ、足がつる、むくむ、疲れやすい、皮膚が変色した、かゆい…これらは下肢静脈瘤の症状です。
下肢の血液は、足の運動によって心臓に戻っていきます。また静脈には、血液の逆流を防ぐための弁がついていて、血液が重力に負けて下へ引かれ逆流しないようにくい止めています。この逆流防止弁は、足の付け根や膝の裏など、太い静脈血管の合流部で壊れやすく、これが原因で血液は逆流し、足の下の方に血液が溜まり、静脈がこぶのように膨らむのです。

従来、下肢静脈瘤ストリッピング手術(静脈抜去術)は手術範囲が大腿全長(大伏在静脈型)もしくは下腿全長(小伏在静脈型)に及ぶため、入院のうえ全身麻酔、下半身麻酔などにより行われてきました。当院では、TLA麻酔と呼ばれる特殊な局所麻酔と静脈麻酔を組み合わせて日帰り根治術を行っております。

術後は歩いて帰宅可能で、その日から日常生活範囲の動作は支障なく行えます。そのため、入院を望まない方や仕事が休めない方には、便利かと思われます。シャワーは翌日から、運動も1週間後より可能です。

また、当院の下肢静脈瘤の手術は麻酔法の工夫により、ローコストであることも特徴です。これまでに手術させて頂いた方々の手術時の自己負担分は、足1本につき(3割負担の場合)33,000円から50,000円、(1割負担の場合)12,000円でした。手術は、経験を積んだ約10名の血管外科医が執刀いたします。当院ではこれまでに、下肢静脈瘤手術・処置を5000例近く経験しております。

 

診療の概略

初診当日に血管外科医による下肢血管超音波検査を行い、静脈瘤の原因部位を探り、また深部静脈の観察、動脈硬化の有無を同時にチェックいたします。
その後、手術の補助療法として不可欠な弾力ストッキングを処方し、下肢静脈瘤の病態、手術術式、麻酔、リスク等につき30分ほど説明させていただきます。
手術をご希望された段階で、術前検査(心電図、心エコー、胸部X線、採血、検尿)を行います。ただし、紹介元からのデータ、または健診結果がある場合は、それらを参考にさせていただいております。
手術日程を予約していただき、あとは、手術当日においでいただくだけです。
手術自体は約30分で終了いたしますが、その後、2~3時間ほどお休みいただき、帰宅していただきます。
術後の通院スケジュールは、翌日、傷のチェック、弾力包帯の解除をして、次は1週間後に再度、下肢の状態、傷をチェックします。さらに2~3週間後、下肢の浮腫が消失した段階で必要があれば2週間に1度、追加の硬化療法を数回行います。

下肢静脈瘤について

1. 症状

下肢静脈瘤は、一般に年齢とともに増加し、脂肪の多い人、女性に多く、妊娠を契機(特に第二子出産後)として発症することが多い病気です。また長時間の立ち仕事、重い荷物を扱う職業の人、スポーツマンに下肢静脈瘤は多く、家族歴のある人すなわち遺伝の関与も指摘されています。一般的に以下のような症状があります。

(1)あしの静脈が瘤のようにふくらんでいる、静脈が目立ってスカートがはけない。
(2)あしが「おもい、だるい」「つる、こむら返り」「むくむ」「いたい」「かゆい」。
(3)あしの「湿疹」「皮膚硬化」「色素沈着」「出血」「皮膚潰瘍」など
(4)極まれに「肺梗塞による息切れ、突然死」の報告もあります。
(5)下肢静脈瘤の治療をする理由として美容的な悩みから行うこともあります。

2. 病因、概略

血液は心臓ポンプ作用により動脈血として、全身にいきわたり、毛細血管を介して静脈血となり、全身から心臓へ戻ってきます。その際、心臓ポンプの力は、動脈までしか作用しません。特に足の静脈では、ふくらはぎの筋肉運動により静脈が揉まれて、心臓の方向へ静脈血を押し出して、ゆっくりと心臓に戻って行きます。一度筋肉ポンプの作用で上に押しあがった静脈血の重力による逆流を防いでいるのが、静脈弁(逆流防止弁)です(図1-a)。

図1-a

静脈の逆流防止弁

正常な状態では、静脈の中を流れる血液が重力によって下へ引っぱられるのをこの逆流防止弁がくい止めています。断面で見ると、弁は八の字をしており、上方(心臓への方向)にのみ一方通行で血液が流れるよう働いています。この弁が何らかの原因で壊れ、血液が逆流してしまい、長い年月を経て静脈が瘤のように膨らんでくる。これが下肢静脈瘤という病気です(図1-b)。

図1-b

正常な逆流防止弁

正常な逆流防止弁

下肢静脈瘤逆流防止弁の破綻

下肢静脈瘤逆流防止弁の破綻

足の静脈には、筋肉の中の深いところにある深部静脈と、皮下の浅いところを走る表在静脈の二つの系統があります。表在静脈にも二つの系統があり、ひとつは大伏在静脈と呼ばれ脛の内側、大腿の内側を上行し、足の付け根(鼠径部)で深部静脈に合流します。もう一つは小伏在静脈と呼ばれ、ふくらはぎを上行し、膝の裏側で深部静脈に合流します。(図2)これら表在静脈の深部静脈への合流部は高い圧がかかりやすく、逆流防止弁の壊れやすいところで、こうした理由により、大伏在静脈や小伏在静脈は静脈瘤の好発部位となっています。

図2

下肢静脈の解剖

3. 検査

下肢血管超音波検査(血管エコー)を行っております。これは、無痛検査であり、なおかつダイナミックに血流の情報を得られる唯一の検査方法です。最も重要で必要な検査です。他に下肢静脈造影検査やMRIなどが下肢静脈瘤の検査として一般に行われておりますが、被曝などの欠点もあり、特殊な場合を除き通常は不要です。

4. 治療

(1)圧迫療法

弾力包帯や弾力ストッキングを用います。手術や硬化療法の補助療法として重要です。
ごく軽度な場合にのみ圧迫療法だけを行いますが、外してしまえば元通りです。

(2)硬化療法

静脈瘤に直接細い針を刺して、硬化剤を注入して固めてしまう方法です。外来において5分ほどで行うことが可能です。手術療法と組み合わせて行うこともあります。硬化療法単独の治療は、ごく軽度な場合にのみ行います。
逆に、伏在静脈本幹に逆流がある場合、硬化療法でごまかそうとしても高率に再発し、次の手術にも癒着の原因となって悪影響を及ぼしてしまいます。

(3)手術療法
[1] 高位結紮術
伏在静脈の根部を結紮します。しかしながら、この術式では高率に再発してしまいます。
[2] 選択的ストリッピング術(静脈抜去術)
足の2ヶ所に(足の付け根と膝の内側、もしくはふくらはぎに2ヶ所)、ごく小さな(径1cm)切開を加えて、ワイヤーを伏在静脈に通して大腿部もしくは下腿部裏面(ふくらはぎ)の伏在静脈を抜去します。(図3)こうして、逆流の源を十分に処理してから、膝より下の静脈瘤を硬化療法で固めていきます。通常、傷跡はほとんど目立ちません。保険適応のためコストがかからず、また現在ではこれが標準かつ安定した根治術です。多くの施設では、全身麻酔や下半身麻酔のもとに行われ、数日から1週間ほどの入院を要する治療です。当院では、患者様のニーズに応えるため、TLA麻酔(特殊な局所麻酔)による日帰り手術を行っております。

図3

下肢静脈瘤選択的ストリッピング手術

下肢静脈瘤選択的ストリッピング手術

[3] レーザー焼灼術
下肢静脈瘤の原因となっている静脈に、光ファイバーを入れ、その先端からレーザー光を照射して、発生した熱により静脈を焼灼する治療です。焼かれた血管は硬化し細くなり、血流が完全に遮断されるため、従来のストリッピング手術(抜去手術)と同じ効果が得られます。保険適用です。
[4] 高周波焼灼術
レーザー治療よりも更に最新の治療です。保険適応です。

5. 下肢静脈瘤ストリッピング手術の合併症

軽度のものでは出血、血腫、水泡、再発、感染など。また重篤なものでは深部静脈血栓症、肺梗塞、手術の際の麻酔による合併症(麻酔薬によるショック、呼吸抑制、血圧低下による脳梗塞、心筋梗塞、不整脈等)といった可能性があります。当院において、これまでに重篤な合併症をおこした患者様はおりませんが、万が一の事態が起きた場合、迅速に対処できる体制を整えています。また、当院の血管外科医の15年間の経験における下肢静脈瘤手術の合併症率は0.2%です。

6. 手術後の痛みについて

下肢静脈瘤の手術後の痛みは軽度です。日常生活範囲の行動はすぐに可能です。
術後も歩いて帰宅できます。処方した痛み止めを内服されないで済む患者様も多くおられます。

7. よくある質問

弾力ストッキングを履いたら、足が軽くなり調子が良いのですが。このまま治りませんか?
弾力ストッキングは壊れた静脈の逆流を改善し、血流を良くしますが、脱いでしまえば元通りです。補助療法として非常に重要ですが、残念ながらこれだけでは治りません。
手術で血管を取ってしまっても大丈夫なのでしょうか?
足の静脈は大きく2つに分かれます。表面近くの表在静脈と、筋肉の奥にある深部静脈です。このうち大事なのは深部静脈の方で、血流のほとんどを担っています。手術で取る血管は表面近くの表在静脈で、しかも逆流防止弁が壊れている静脈です。せっかく汲み上げられた血液を下のほうに戻してばかりいる悪さしかしていない静脈です。取ってしまっても問題なく、むしろ足の血流は良くなります。
下肢静脈瘤を放置するとどうなりますか?
下肢静脈瘤は慢性進行性良性疾患です。基本的には良性疾患であり、命を落とすことや足の切断などになることは稀です。
しかしながら、ゆっくりと何年もかけて確実に悪くなっていく病気です。捻挫や風邪と違い、放っておいても治りません。重症化した場合、皮膚の色素沈着(黒くなる)、皮膚の潰瘍化、蜂窩識炎(足が感染により赤くはれ上がる)、血栓性の炎症などが起こります。重症化した場合、治療は難易度が高くなり、また時間がかかります。
弾力ストッキングなどで、進行を遅らせることはできますが、いずれは根本的治療が必要となります。
下肢静脈瘤は遺伝しますか?
明確な遺伝の原因はわかっておりません。しかし、ご両親が下肢静脈瘤であった場合、お子様も下肢静脈瘤になることが多いと言われております。
相談をした近所のホームドクターに、きついサポーターでもはいて、様子をみましょうと言われました。様子をみていて大丈夫ですか?
下肢静脈瘤の病気としての認知度は、医療従事者間においてもいまだ低く、放置しておいて潰瘍や蜂窩識炎が起きてから慌てるといったケースもよくあります。下肢静脈瘤は、美容外科、皮膚科、一般外科でも診療されることがありますが、手術適応の決定や手術しない場合の管理も、血管外科医の受診をお勧めします。下肢静脈瘤に関連した深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)、先天性静脈疾患などがあり、手術してはいけないケースもあります。また、手術に関しても深部静脈への影響、トラブル対処(血管縫合等)などに熟知していることが必要だからです。
また、弾力ストッキングの処方は、動脈硬化の有無、サイズ、適した圧力などを考慮してなされるものであり、足の動脈の状態の診察も必須です。
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